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『NASZA KLASA (ナシャ・クラサ) 私たちは共に学んだ -歴史の授業・全14課-』

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『Nasza klasa (ナシャ・クラサ)』第20回読売演劇大賞各賞受賞

 

 

【最優秀作品賞】『Nasza klasa (ナシャ・クラサ)』(文学座アトリエの会)

審査評 みなもとごろう

小さな椅子 「悲劇」の象徴

 第2次大戦中に、ポーランドの小さな町で、現実に起きたユダヤ人への暴行・輪姦・殺戮と、当事者たちのその後の生き方とを問うたドラマである。正視するに堪えない出来事を本当に舞台化できるのか? その難問に確かにこたえて、深い感動を与える。

 10人の子供たちが、未来の自分の衣装を着けて集まる。舞台の上にあるのは、あの小学校の小さな木製の椅子だけ。その椅子が、時に象徴的に、時に感覚的に、生々しい出来事を表出して、観客の内面に食い入る。これほど素晴らしい装置にして小道具をかつて見たことがない。見事な演出の創意。登場人物は、ある時は観客に語りかけ、ある時は彼らの間で演じる。この垂直性と横断性とによって、一過性の出来事が現在と過去との時間の堆積を帯び、一人一人の人生の重さへと変容する。そのずっしりとした手応えの確かさ。

 この主題をこの表現で!

 演劇という芸術の可能性を、改めて信じさせてくれる舞台である。

 

【最優秀スタッフ賞】島次郎(『Nasza klasa』『リチャード三世』の美術)

審査評 前田清美

「劇場の器」生かす

 劇場の器により、プランナーのいわゆる腕が問われるのは言うまでもない。

 文学座アトリエの『Nasza klasa』では、簡素ながら観る者に猛烈な想像力を与えてくれる、木の机と椅子、壮絶な内容とのコントラスト。多くを語らず、それでいて自由。異業種プランナーとして、振付家・舞踊家の私自身が目指すそのものが、『リチャード三世』を含めた双方の作品に存在した。

 

【芸術栄誉賞】文学座アトリエの会

審査評 河合祥一郎

実験的試み 果敢に

 文学座アトリエの会は、演技陣の確かな実力とスタッフの才能を武器として、実験的な試みに果敢に挑戦することで質の高い意欲的な舞台を作り続けてきた。

 このたびの受賞は『Nasza klasa』の成果が決め手となったが、この作品は突然生まれたのではなく、『ペンテコスト』(2001年)、『ホームバディ/カブール』(03年)、『カラムとセフィーの物語』(10年)といった民族問題を取り上げてきた実績の上に積み重ねられたものだ。

 この手の難しい戯曲を料理できる知性の高さも文学座ならではのものだが、アトリエの会の良さは、『ぬけがら』(05年)などの新作や『マイ・シスター・イン・ディス・ハウス』(00年)といった翻訳劇など、新旧・国内外をとりまぜて幅広い作品に挑戦し、確実な歩みを続けているところにある。1958年の「アトリエ憲章」に謳われた「冒険的な試演」の精神が意義深い成果を上げ続けていることを、高く評価したい。

 


2012.05.18 – 2012.06.01

『NASZA KLASA(ナシャ・クラサ)』ポーランド語で私たちの同級生という意味。この作品はポーランドのとある学校の同じ教室で学んだ男女10人の"歴史"を描いたもので、第二次世界大戦におけるユダヤ人への弾圧といった歴史的事実を通して彼らの人生に迫ります。

舞台のモデルとなっているのはポーランド北東部に位置するイェドヴァブネという小さな町。世界大戦によって国の東側をソビエトに占領され、その後独ソ不可侵条約を破って侵攻してきたドイツの占領下となる複雑な時代背景の中、 10人の登場人物たちが如何にして生き、死んでいったのか。ポーランド人かユダヤ人か、変えようのない事実が運命を大きく左右する。かつてのクラスメートたちはその運命に翻弄され、抵抗すら出来ずに命を落とす者、誰かを犠牲にしても生きようとする者、それぞれの"歴史"が舞台上に刻まれることになる。それはあたかも彼ら自身の目で見、耳で聞き、心に記録された事実=歴史を振り返り、学ぶための授業のようである。

この町でのユダヤ人虐殺に、ポーランド人が深く関わったといわれる歴史の暗部に鋭く切り込んだ本作は、本国ポーランドにおいて度々上演され、作者はこの作品でニケ文学賞(ポーランドで権威のある文学賞)を受賞しています。日本初演となる本作。アトリエならではの密度の濃い劇空間にご期待下さい。

http://www.bungakuza.com/naszaklasa/index.html

 

Tadeusz Słobodzianek(タデウシュ・スウォボジャネク)

1955年、クラスノヤルスク(シベリア)生まれ。
同年、両親とともにポーランドに引き上げ、ビャウィストクに定住する。
演劇評論、演出を経て、1980年に最初の戯曲を発表。
2003年、ワルシャワにドラマ・ラボラトリーを設立。劇作家の育成にも携わる。 2007年「NASZA KLASA」発表(2008年初演)。 2010年同作により、ポーランドで最も権威のある文学賞「ニケ賞」受賞。
現在、ヴォラ劇場(ワルシャワ)芸術監督。

 

演出/髙瀬久男(たかせ ひさお)

1957年生まれ 文学座附属研究所20期 1985年、座員に昇格。 2001年文学座アトリエの会『マイ・シスター・イン・ディスハウス』での成果により第8回読売演劇大賞/優秀演出家賞。2002年にはデュマ の傑作「巌窟王」を大胆に脚色・演出した『モンテ・クリスト伯』(文学座)で高い評価を得て芸術選奨文部科学大臣新人賞、 2003年『アラビアン ナイト』で 毎日芸術賞/千田是也賞、 2010年は『高き彼物』『グレイクリスマス』読売演劇大賞/優秀演出家、『カラムとセフィーの物語』(文学座アトリエ)で第45回紀伊國屋演劇賞/個人賞を受賞した。近作は2009年『結婚』(文学座アトリエ)、 2010年『カラムとセフィーの物語』(文学座アトリエ)、『冬のライオン』(幹の会・リリック)など精力的に活動している。

<公演詳細>

 

信濃町・文学座アトリエ  (地図)
2012年5月18日(金)~6月1日(金)

 

お問合せ 03-3351-7265(10時~18時/日曜・祝祭日を除く)

 

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